夜、スマホを眺めていたら「毎日ちょっと触るだけで、毎月お金が入る」という広告が流れてきた。

怪しいと分かっているのに、指が止まる。閉じたはずなのに、また同じ広告を探してしまう。

その揺れ、僕にも覚えがあります。だから今日は、払う前に確かめる順番だけを話させてください。

1. 僕がやってしまったこと

去年ごろから、僕の中に「すぐにお金にしたい」という思いがありました。

最初に探したのは、競馬の必勝法。調べるほど難しくて、次にオートレースへ目を移します。

先に言っておくと、僕は賭け事をしません。オートレースは毎回決まった数の車で走り、番号の若い車がかなり有利だと知った。それなら「有利な車以外が、どんな条件のときに来るのか」さえ分かればいい。そう考えて、AIも使いながら過去のデータを大量に回し、検証を続けました。

結局、条件は見つかりません。まるまるひと月ほどが、そこで消えました。

振り返ると、これが初めての失敗ではないんです。これまでの人生、失敗ばかりで、いろいろなことにお金を使ってきました。離婚もしています。ただ、お金がなくなっていった。今は、だいぶ頑張っています。それでも「お金を作りたい」という本能が、いまだに働いてしまう。

どこで間違えたのか。僕は「何を作るか」より先に「すぐお金に」を置いていました。答えが出るか分からない探し物に、ひと月を丸ごと注いだ。あの広告にぐらつくあなたの気持ちが分かるのは、僕が同じ場所に立っていたからです。

2. 調べて分かったこと

公式の情報で分かったこと

広告の言葉を、消費者庁と国民生活センターの情報に当ててみました。

まず、ネットで売られる情報商材の多くは「通信販売」にあたります。特定商取引法では、通信販売の広告に、販売業者の名称・住所・電話番号などを表示するきまりがある。ページの下のほうにある「特定商取引法に基づく表記」が、それです。ここが無い、あっても電話番号がない、住所の実在が分からない。そんな販売元に、お金を渡す理由はありません。

次に知ったのは、通信販売にはクーリング・オフの制度がない、という点。返品できるかどうかは、広告に書かれた返品のきまり(返品特約)で決まります。「とりあえず買って、合わなければやめる」が通じない場合がある、ということ。払う前の確認が大事になるのは、このためです。

国民生活センターも、副業やもうけ話をめぐる相談について、注意を呼びかけています。困ったときの入口として、消費者庁が案内しているのが消費者ホットライン188。近くの消費生活センターなどの相談窓口につながる番号です。

広告の言葉を、二つに分けて読む

「毎日ちょっと」「誰でも」「スマホだけ」。どれも、作業の中身ではなく、楽さを伝える言葉です。中身を伝える言葉は、「何を」「誰に」「どうやって」の三つ。広告を見返して、楽さの言葉と中身の言葉、どちらが多いか数えてみてください。

作ってきた僕の目で分かったこと

もう一つは、僕自身の経験からの話。業務の自動化や自動売買のボットなど、いろいろな物を自分で作ってきました。どれも、まず「何を自動化するのか」が決まらないと、形になりません。決まったあとも、作って、動かして、うまくいかない所を直す時間がかかる。

だから「毎日ちょっと触るだけ」と聞くと、僕はこう問い返します。その数分のあいだに、誰が何をして、誰に何を届けると、お金が入るのか。広告がこの問いに答えていないなら、僕は払いません。一言で言えないまま手を動かしても形にならないことを、僕はオートレースのひと月で知りました。

3. 今日からできること

広告を見て心が揺れている今、払う前にこの順番で確かめてください。

  1. 広告のページを閉じる前に、一番下の「特定商取引法に基づく表記」を探す。 スマホを開いたまま、すぐできます。販売業者の名称・住所・電話番号がそろっているか。見つからなければ、その時点で止めて大丈夫です。
  2. 「何をして、お金になるのか」を紙に一行で書く。 誰に、何を届けて、誰からお金をもらうのか。例えば「スマホで作業するだけ」としか書けないなら、中身はまだ分かっていません。広告を読み返しても書けないなら、それは説明されていないということ。
  3. 返品のきまり(返品特約)を読む。 通信販売にはクーリング・オフの制度がありません。払ったあとで「やっぱりやめたい」が通るのか、払う前に文面で確かめましょう。
  4. 一晩おいて、家族か誰か一人に話す。 声に出すと、自分でも引っかかる所が見えてきます。話しにくい相手しかいない夜もあるでしょう。それでも迷うなら、消費者ホットライン188へ。

どれも、お金を払わずにできる確認です。

4. 僕の考え

僕は、うまい話かどうかは「何をしてお金になるのかを、払う前に一行で言えるか」で見分けられると考えます。

理由は二つ。一つは、僕自身の失敗です。オートレースで「有利な車以外が来る条件」を探したとき、その条件が何なのかを言えないまま、ひと月を使いました。もう一つは、作ってきた物の記録。業務の自動化も自動売買のボットも、何を自動化するかが決まってから、形になり始めた。

楽に稼げるとうたう話ほど、ここがぼやけている、と僕は感じます。あなたが今日、払う前に一行を書けたなら、それだけで広告に振り回される側から一歩外に出られる。だから僕は、楽な話ではなく、手を動かして作る順番を、無料で全部ここに書いていく。

5. ここから先は、詳しい人に

すでにお金を払ってしまった。相手と連絡がつかず、返金の話が進まない。追加の契約をすすめられて、断り方に困っている。

そんなときは、一人で抱えずに、消費者ホットライン188へ電話してください。近くの消費生活センターなどの相談窓口につながります。契約や返金の扱いは、買い方や状況によって変わるもの。自分で判断する前に、相談員に事情をそのまま話すのが近道です。

広告を見て心が揺れたときに見返せるよう、この確かめ方の手順を保存しておいてください。